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Cloud Native Platform Engineering Japan Kickoff in Japan!
皆さん、初めまして。 Red Hatでチーフアーキテクトをしている駒澤です。
本日は、12月8日に開催されました、Cloud Native Platform Engineering Japan Kickoffの様子について皆さんにお伝えします。 これはCNCFコミュニティで企画するプラットフォームエンジニアリングのイベントとしては**「日本初」**となります。
このイベントは、Cloud Native Platform Engineering JapanというCNCFの日本チャプターであるCloud Native Community Japan ( CNCJ)のSIGが運営しています。 このグループの趣旨は、「プラットフォームエンジニアリングに関する啓蒙活動をCNCFの立場から発信していこう! 実践者が集い知見を共有し、アップストリームと緊密に連携して、日本と世界をつないでいこう!」というもので、私もオーガナイザーの一人として参画しています。 下のスライドのように、10月21日のLF Japan Community Days でアナウンスされました。

このコミュニティが発足したきっかけは、日立のHead of OSPOでありCNCFのGoverning Boardである中村さんと、Red HatのAPAC CTOであるVincentさんが会話したことから始まりました。 そこで日本やアジアでのプラットフォームエンジニアリング活動が、欧米と比較すると遅れているので、日本でも個別にコミュニティを立ち上げるのが良いという話になりました。 その中で、私と中村さんがつながったという経緯です。
ちょうどCNCFからプラットフォームエンジニアリングの認定資格である、 CNPA (Cloud Native Platform Engineering Associate)がでたこともあり、私から中村さんに、「日本語化やりませんか?」と持ちかけたところからコミュニケーションが始まり、そのような活動も含め、有志で推進していこうと集まったのがこのメンバーです。
LINEヤフーの早川さんは、早くからCNCFのPlatform Engineering Technical Community Groupにも参加しており、また国内のコミュニティ(Platform Engineering Kaigi/Meetup)にも繋がりをもっていたため、リーダーとしてこの会をリードしていただいています。
日立の田畑さんは、KeycloakのコミッターでもありCNCF TAG Security and Complianceなどのセキュリティ分野でコミュニティを推進している方で、その運営経験を活かしてこのコミュニティにも参加してくれました。 (CNCF Ambassadorでもあります)
さらに日立の松田さんはKubestronaut(Kubernetesの全資格を持つ超人)の一人であり、このコミュニティに貢献したい!と元気よく参加していただきました。 (中国地方唯一のKubestronaut!)
岡部さんは大学生でありメルカリでインターンをしていますが、今回の企画運営の中心となりグイグイ進めてくれた方です。 岡部さんはCNCF Ambassadorであり、OSSコミュニティで存在感あふれるリーダーシップを持った方です。
そしてこの企画を実施した後、サイバーエージェントの青山さんまで参加していただきました! Kubernetes Meetup や Cloud Native Daysなどのオーガナイザーも務める青山さんが参加されることで、コミュニティ運営の体制がさらに強力になりました。
このような多様性のある才能あふれるメンバーの中で、私は何をすれば良いのか!?
私はRed Hatでアーキテクトを務めています。 Red Hatがオープンソースをビジネスとするために実践してきた「 オープンソース・ウェイ」を、日本のアンバサダーとして啓蒙していく立場が取れるのではと考えています。 開発者のイノベーションをオープンな意思決定で透明性を高めながら推進していく開発モデルであるオープンソース・ウェイは、社内プラットフォームとして開発者の体験を最大化させるプラットフォームエンジニアリングと非常に相性が良いはずです。
Red Hatに在籍していると、このような組織運営や考え方が当たり前のように思えてきますが、それを実践するのは非常に難しく、また暗黙知が多く外部にはほとんど知られていません。 Red Hatがどのようにソフトウェアを開発し、オープンソースコミュニティと共存してきたのかを、このコミュニティを通じて代弁できればと考えています。
前置きが長くなりましたが、イベントの内容について少し紹介したいと思います。
キーノート
キーノートはVincentさんが発表しました。 「Bridging the Gap」ということで、社内と社外のコミュニティ活動をベースとしたプラットフォームエンジニアリング活動が日本のソフトウェア開発の未来を作るというメッセージでした。 エンドユーザー企業におけるIT人材不足やスキルギャップの課題は欧米に比べてより深刻であり、それを改善するためには社内のインナーソース活動(企業内の知識をオープンに共有して集合知化していく活動)を進めるべきであり、その一つの施策としてIDP(内部開発者プラットフォーム)が重要になるという話です。

CNCFから見たプラットフォームエンジニアリング
次にLINEヤフーの早川さんから、CNCFから見たプラットフォームエンジニアリングについて紹介がありました。 CNCFでは、プラットフォームエンジニアリングの役割や価値、効果の計測方法、プラットフォームチームの実現方法をまとめた Platforms ホワイトペーパー、プラットフォームの成果を振り返り改善の機会を特定するための 成熟度モデル、そして プラットフォームエンジニアリングに関する認定資格 などを提供しています。 このようにCNCFは、プラットフォームエンジニアリングを実践するための基盤となる知識や理論を共有し、クラウドネイティブ分野における共通理解やベストプラクティスの形成を支えるコミュニティです。
早川さんは、自社では社内プラットフォームのプロダクトオーナーを勤めていらっしゃいますので、自社での経験も踏まえながら、CNCFにもフィードバックし、コミュニティで発信するという活動をされています。 Kubernetesにおけるマルチテナント運営のベストプラクティスや、インフラ自動化など、自社のミッションクリティカルな基盤での実践があるので非常に説得力のある話をされる方です。

Gateway API導入で失敗しない!KuadrantとKeycloakで実現するセキュアバイデフォルト設計
次に日立の松田さんから、「Gateway API導入で失敗しない!KuadrantとKeycloakで実現するセキュアバイデフォルト設計」と題したテクニカルな内容を発表していただきました。 Kubernetesのアーキテクチャを家族構成で擬人化して説明してくれ、非常に分かりやすく面白い内容でした。

複雑化するプラットフォームにおいてセキュリティが設計段階から組み込まれていることは非常に重要で、Kubernetesのエコシステムがどのようにセキュリティ問題を解決しているのかをエンジニアに分かりやすく伝えていくのか? これもプラットフォームエンジニアリングの領域で最も重要な課題の一つだと思います。
松田さんは(中国地方唯一の)Kubestronautでもあり、ブログなどでこのような分かりやすい解説をしてくれるため、非常に心強いメンバーです。

メルカリにおけるプラットフォームエンジニアリングの変遷
最後には、メルカリのEngineering Enablement groupのEngineering ManagerであるRafaelさんから、メルカリにおけるプラットフォームエンジニアリングの変遷についての紹介がありました。
2018年から現在に至るプラットフォームエンジニアリングの取り組みでの苦労と対策が具体的に示され、プラットフォームチームは、単なるツールの提供ではなく開発者の成功にフォーカスしたイネーブラーになる必要があり、インナーソース文化を醸成するためには、プラットフォームチームがボトルネックにならないよう、ドメインエキスパートのチームがコミュニティをリードする体制にしていったという話でした。
岡部さんが所属するメルカリは、このように典型的な日本型組織とは異なる文化を実現しているため、他の企業にとっては非常に示唆に富んだ体験を伝えることができます。

まとめ
今回のキックオフミーティングはこのような内容で開催されました。
日本のエンジニアの皆さんにとって、「プラットフォームエンジニアリング活動がどのような効果をもたらすのか?」を問いかける趣旨のキックオフとなりました。
自社の事業活動として、プラットフォームエンジニアリング活動は非常に強力な推進力となります。 それをインナーソースの活動として社内に蓄積するだけではなく、その経験を外部にも公開しましょう。 そうすることで、オープンソースコミュニティへのプラスの効果(アウターソース)をもたらし、それが企業のブランド力として認知され、自社のメリットに還元されるというフィードバックループになります。
今後ともこのコミュニティを盛り上げるべく、皆さんもぜひご協力ください!
おまけ:プラットフォームエンジニアリングを考える際の思考フレームワーク
下記は、私が考えるプラットフォームエンジニアリングの全体像です。 社内プラットフォームをプロダクトとして考える「Platform as a Product」、ソフトウェアエンジニアリングの延長線上で考える「Platform as Engineering」、組織やアーキテクチャの問題として考える「Platform as Organization & Architecture」という、3つの問題領域が重なっていると考えます。 このように考えることで、企業の戦略や設計のコア機能としてプラットフォームチームを位置付け、投資する計画を立てることができるのではないかと考えています。

以下はそれらをガイドする良い本のリストです。 一番下の3つのロゴは、Red Hatの経験をベースにオープンソース化したプラクティスコミュニティです。 これらが伝えている考え方やプラクティスを、自社に合わせて運営・実践することができれば、企業のビジネス価値を最大化するプラットフォームができるはずです。

みんなでプラットフォームエンジニアリングを実践していきましょう!
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